【映画情報】
題名:おおかみこどもの雨と雪(おおかみこどものあめとゆき)
ジャンル:ファミリー、家族ドラマ、長編アニメーション
監督:細田守
出演者:宮崎あおい、大沢たかお
製作会社:「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会
配給:東宝
公開:2012年7月21日
上映時間:118分
製作国:日本
言語:日本語
【評価】
おすすめ度:80点(100点満点中)
【あらすじ・ストーリー・物語】
大学の教室で見かけた男性に一目で恋をした女子大生の花(宮崎あおい)は彼(大沢たかお)に接近し、やがて彼も花のことを好きになってくれる。ところが、彼は自分がニホンオオカミの末裔である「おおかみおとこ」だと告白する。彼を受け入れた花と彼は結ばれて姉の雪と弟の雨が産まれる。しかし、彼は花と2人の幼い子供を残して事故で亡くなってしまう。残された花は人間とオオカミの両方に変身できる雨と雪の育児に追われる。都会の狭いアパートの部屋では近所迷惑になっておおかみこどもを育てるのは難しくなってくる。
そこで、花は山奥の古民家を借りて住むため家族3人で田舎へ引っ越すことにする。田舎で雪と雨は伸び伸びと育つ。花は他人と関わらずに親子3人で暮らすつもりだったが、田舎の人々と交流がうまれ助けてくれるようになる。やがて雪は小学校へ通うようになる。雨も小学校へ行くようになるが、学校を休みがちになり、山へ行くようになる。雨は一匹の狐を先生として山のことを教わるようになる。
転校生の藤井草平(平岡拓真)に自分のことを獣臭いと言われた雪は彼を避けるようになる。草平は自分を避ける理由を聞くため雪のあとをしつこくついてくる。それに耐えられなくなった雪はおおかみ姿になって草平を傷つけてしまう。
ある暴風雨の日、雪を車で迎えに行こうとしたところ、雨が山奥へ行こうとする。花は雨の後を追い掛けて山奥へと入ってしまう。花は雨を探しているうちに足を滑らして山の斜面から転落し気を失ってしまう。そこへ雨がやって来て道路のある場所まで運んでくれる。花が気がついたとき、雨はまた山奥へ去って行く。
迎えの来ない雪と草平は学校の校舎に二人だけ取り残される。そこで雪は自分がオオカミ人間であるという秘密を草平に打ち明ける。ところが、草平はすでに雪がオオカミ人間であることを知っていた。それでも、草平は雪に秘密を誰にも話さず接していたのである。
おおかみ人間として生まれた雪と雨は、雪は中学校になり家を出て学校の寮に入り人間として生きる道を選び、雨は山でオオカミとして暮らす道を選ぶ。そして、田舎の山奥の家で一人で暮らしている花には山から雨の遠吠えが時々聞こえる。
【レビュー・感想・ネタバレ】
このアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』は前半から中盤にかけて非常に面白く見れたのだけれでも後半にかけてその面白さが失速してしまった。子どもが幼い頃までは良かったのであるが、小学生高学年になってからの話はもう少し面白くできなかったのだろうかと残念である。
本作は、おとぎ話と現実話が混ざったような物語に惹きつけられた。問題は、この物語をあくまでのおとぎ話として見るのか、それとも現実の話として見るのかによって評価が分かる。
本作をおとぎ話として見るのであれば、親子がテーマの楽しい物語として見ることができる。ただ、雨の後を追って山奥に入った花が斜面から滑り落ちた場面では、花は死亡するか重症になっていないのはおかしいという点がある。また、暴風雨の日、花は車で雪を迎えに行こうとしていたのに、雨の後を追い掛けるのに一生懸命で雪をほっぽらかしなのも納得できないところだ。好意的に解釈すれば、おそらく花は雨が自分のもとを離れて山へ行ってしまい会えなくなるんじゃないかと恐れていたため雨の後を執拗に追い掛けたのだろうと思えるふしもある。それでも、雨にふもとまで運んでもらった後、花が雪のことを思い出す場面を入れておくべきだったのではないかと思う。
次に、本作を現実の話として見ると、かなり問題が浮上してくる。まず人間と動物との間の獣姦が問題になる。人間と動物の間に子どもが生まれるのかという話は置いておいて、人間ではない動物との間の子どもを生むべきかということが問題になってくる。おおかみ人間として生まれることが果たして子どもたちにとって幸せなのかという深刻な問題は避けて通れない。花と彼とはそのことを真剣に考えたふしがない。親として子どもに対して無責任ではないだろうか。それと、雪と雨は自分がオオカミ人間であることに当然疑問を持つはずなのに当たり前のように受け止めているのもおかしい。雪と雨の立場なら自分の宿命を受け入れられず運命を呪ったり親を恨んだりするはずである。そうした悩みが苦しみが描かれていないのもおかしい。
あれこれ書いたが、本作はアニメ映画に新風を吹き込んだ内容となっているのではないかと思わせてくれるものがあった。
【キャスト・配役・出演者】
花[はな](宮崎あおい)
彼[おおかみおとこ](大沢たかお)
雪[ゆき](少女期:黒木華、幼年期:大野百花)
雨[あめ](少年期:西井幸人、幼年期:加部亜門)
藤井草平(平岡拓真)
草平の母(林原めぐみ)
細川(中村正)
山岡(大木民夫)
韮崎のおばさん(片岡富枝)
田辺先生(染谷将太)
土肥の奥さん(谷村美月)
堀田の奥さん(麻生久美子)
韮崎(菅原文太)
【スタッフ】
監督:細田守
原作:細田守
脚本:細田守、奥寺佐渡子
キャラクターデザイン:貞本義行
作画監督:山下高明
美術監督:大野広司
音楽:高木正勝
製作指揮:城朋子
製作:藤本鈴子、斎藤佑佳、岡田浩行、井上伸一郎、平井文宏、阿佐美弘恭、弘中謙、市川南、高田佳夫、植木英則
エグゼクティブプロデューサー:奥田誠治
Co.エグゼクティブプロデューサー:高橋望
プロデューサー:齋藤優一郎、伊藤卓哉、渡邊隆史
アソシエイトプロデューサー:川村元気、村上泉
色彩設計:三笠修
CGディレクター:堀部亮
美術設定:上條安里
衣装:伊賀大介
劇中画:森本千絵
編集:西山茂
録音:小原吉男
音響効果:今野康之
音楽プロデューサー:北原京子
キャスティングディレクター:増田悟司
副監督:タムラコータロー
製作幹事:日本テレビ放送網
製作:「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会(日本テレビ放送網、スタジオ地図、マッドハウス、角川書店、バップ、D.N.ドリームパートナーズ、読売テレビ放送、東宝、電通、デジタル・フロンティア / STV・MMT・SDT・CTV・HTV・FBS)
企画・制作:スタジオ地図
プロダクション協力:マッドハウス
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