【映画情報】
題名:ハングリー・ラビット(原題:Seeking Justice)
ジャンル:サスペンス・アクション
監督:ロジャー・ドナルドソン
出演者:ニコラス・ケイジ、ジャニュアリー・ジョーンズ、ガイ・ピアース
配給:アンカー・ベイ・フィルムズ、ショウゲート
公開:2012年3月16日[]、2012年6月16日[]
上映時間:105分
製作国:アメリカ合衆国
言語:英語
【評価】
おすすめ度:70点(100点満点中)
【あらすじ・ストーリー・物語】
ニューオーリンズで高校の国語教師を勤めるウィル・ジェラード(ニコラス・ケイジ)は、チェロ奏者でオーケストラのメンバーでもある音楽家の妻ローラ・ジェラード(ジャニュアリー・ジョーンズ)と幸せな結婚生活を送っていた。ある晩、ローラは帰宅途中に何者かに襲われ暴行され重傷を負ってしまう。
知らせを受けて病院へ駆けつけたウィルは妻の無残な姿を見て激しいショックとともに悲しみと怒りで大きく動揺する。そこへ、サイモン(ガイ・ピアース)と名乗る謎の男が近づいて来て「奥さんを襲った犯人を知っている。代わりにそいつを処刑してやろうか?」と代理復讐の話を持ちかけてくる。復讐の依頼を受ける条件は後で「簡単な仕事」を手伝ってもらえればいいということだった。ウィルは一度はその話を断るが、最終的にはサイモンの提案を受け入れてしまう。
後日、ウィルは射殺された遺体の写真と奪われたネックレスを受け取る。
半年後、ウィルのもとに再びサイモンが現れる。サイモンは約束した「簡単な仕事」を手伝って欲しいと言って来る。ウィルはしぶしぶながら最初の手伝いを実行するが、次に最後の手伝いだと言われたのは小児性愛者の男を事故に見せかけて殺害するという代理殺人であった。
【レビュー・感想・ネタバレ】
代理殺人という物語の設定は昔からよくある手法だが、代理殺人を犯罪被害者を中心に大規模に組織化したろころが本作の目新しさであろうか。日本でも必殺シリーズに代表されるような代理殺人の組織はあるが、あくまでも小規模な組織に留まっている。というのも、そもそも請負殺人を実行するような組織の構成員が多ければ多いほど秘密が漏れる危険性が高くなるからである。したがって、このような組織の構成員は必然的に少人数とならざるを得ない。さもないと、組織の秘密は守り切れないからである。
ところが、本作の代理殺人の組織の構成員がかなりの数に上ると思われそれ自体が組織の破綻をきたす原因になるはずである。しかも、組織の構成員はプロの殺し屋ではなく普通の人がほとんどと思われる。とするならば、組織の理念を理解して忠誠心のあついメンバーだけが組織に参加しているわけではないことになる。犯罪組織なのにそのような一般人を組織のメンバーに抱え込んでいること自体が非常に危険といえよう。
組織の構成員の数を多数にしたのはどこにいても組織の人間がいて組織の目が光っているというふうに観客の恐怖心を煽りたかったのだろうと思う。それが却って、自己矛盾の撞着に陥って本作のリアルさを失わせてしまう原因にもなっている。
物語は、ウィルが代理殺人を拒否することで、組織に罠を仕掛けられ彼は殺人犯として指名手配されることになってしまう。ウィルは代理殺人の標的に接近するが犯行を実行できなかった。ところが、突然相手が急に襲い掛かってきて事故で高架下へ落下し死亡してしまう。監視カメラに被害者の死亡事故の前後にウィルの姿が映っていたため、警察に容疑者として捕まってしまう。とこが、被害者の転落場面が映っている監視カメラの映像テープは何者かによって持ち去られていたのである。そして、被害者は犯罪者ではなく元紙の記者アラン・マーシュであることが分かる。彼は謎の組織について取材していたのである。
ウィルは取調室に現れたダーガン警部補(ザンダー・バークレー)によって警察から逃走することができる。そして、ウィルは転落死したアラン・マーシュの組織の存在を証明する取材映像を入手する。取材映像には「組織の本来の目的は法で裁けない犯罪者を処刑することであったが、サイモンは暴走して彼にとって邪魔な人間を殺すようになってしまった」と語る証人も映っていた。
サイモンはウィルの無罪を証明する監視カメラの映像テープとアラン・マーシュの取材映像との交換条件を持ち出してくる。ウィルはサイモン等組織の人間と廃墟のようなショッピング・モールで待ち合わせる。そこには、ウィルの同僚で友人のジミー(ハロルド・ペリノー)もいて彼も組織の人間だと知る。クライマックスではこのショッピング・モールでの決闘になる。しかし、サイモンのやり方に反対であったジミーは、ウィルを助ける行動をとる。ジミーのお陰でウィルは助かるが、サイモンとの対決で敗れてしまう。ところが、サイモンに殺される寸前、妻のローラがサイモンを射殺してウィルは命拾いする。そこへダーガン警部補が現れ、後始末はうまくやっておくので、ウィルとローラに現場を離れるように促す。
ラストの結末では、ウィルは組織のことを明るみに出そうと新聞記者のアラン・マーシュの取材映像を証拠として新聞社に持ち込むが、それを受け取った新聞社の男は「ハングリー・ラビット」という組織の合い言葉を残す。
本作の邦題にもなっている「ハングリー・ラビット(空腹のウサギは飛ぶ)」の意味は、組織の人間であることを自分で証明するために申告する場合と相手が組織の人間であることを確認する合い言葉になっている。
【キャスト・配役・出演者】
ウィル・ジェラード(ニコラス・ケイジ)
ローラ・ジェラード(ジャニュアリー・ジョーンズ)
サイモン(ガイ・ピアース)
ジミー(ハロルド・ペリノー)
トルーディ(ジェニファー・カーペンター)
ダーガン刑事(ザンダー・バークレー)
スカー(アイアン・E・シングルトン)
ジョーンズ(カレン・モス)
グリーン刑事(マーカス・ライル・ブラウン)
【スタッフ】
監督:ロジャー・ドナルドソン
脚本:ロバート・タネン
製作:トビー・マグワイア、ラム・バーグマン、ジェームズ・D・スターン
製作総指揮:ジュリー・ゴールドスタイン、ダグラス・ハンセン、クリストファー・ペツェル、ジェンノ・トッピング
音楽:J・ピーター・ロビンソン
撮影:デヴィッド・タッターサル
編集:ジェイ・キャシディ
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