レ・ミゼラブル(2012年)

レ・ミゼラブル~サウンドトラック <デラックス・エディション>

【映画情報】

題名:レ・ミゼラブル(原題:Les Misérables)
ジャンル:ミュージカル
監督:トム・フーパー
出演者:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・サイフリッド(セイフライド)、エディ・レッドメイン
製作会社:ワーキング・タイトル・フィルムズ
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ、東宝東和
公開:2012年12月7日[ロンドンプレミア]、2012年12月21日[日本]、2012年12月25日[米国]、2013年1月11日[英国]
上映時間:158分
製作国:イギリス
言語:英語

【評価】

おすすめ度:95点(100点満点中)

【あらすじ・ストーリー・物語】

 19世紀のフランスでジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は、姪のためにパンを盗んだ罪で囚人番号24653として5年間投獄されることになるが、脱獄を図ったことで結局19年間服役する。仮釈放された後、各地を彷徨うものの「仮出獄許可証」を持つ前科者に世間は冷たく仕事につくことができず経済的に行き詰まっていく。雪の降る夜、教会の前で寝ているジャン・バルジャンを見た司教(コルム・ウィルキンソン)は教会に招き入れ食事を振る舞い宿まで貸してくれる。ところが、夜中にジャン・バルジャンは教会にある銀器を盗み逃げてしまう。しかし、みすぼらしい姿のジャン・バルジャンが高価な銀器を持っていることから警察に捕まって教会へ連れて来られる。ジャン・バルジャンは盗んだのではなく貰ったものだと言い張っていたのを警官が司教に確かめると、司教は確かにあげたものだと言う。そして、警官の目の前で銀の燭台もジャン・バルジャンに分け与える。この出来事がきっかけで、ジャン・バルジャンはこれまでの生き方を改めて正しい生き方をすることを誓う。

 8年後、ジャン・バルジャンはマドレーヌと名前を変え、モンフェルメールで工場主として成功し、市長にまでなっていた。服役中の彼を知る警官のジャベール(ラッセル・クロウ)が新任の挨拶に彼の工場へやって来たことに気を取られたジャン・バルジャンは、工場内のトラブルを工場長に任せてしまう。工場長は女たちが悪く言うファンティーヌ(アン・ハサウェイ)をクビにしてしまう。

 ファンティーヌにはコゼット(イザベル・アレン)という一人娘がいて、里親に預けた愛娘のためにお金を稼がなければならなかった。仕事を失ったファンティーヌはお金を稼ぐため身と落としていく。ジャン・バルジャンは偶然、娼婦となっていたファンティーヌと出会い、彼女の身の上が自分のせいだったこと知る。ファンティーヌの人生に責任を持たねばならないことを決意したジャン・バルジャンは彼女に娘のコゼットを引き取ることを約束する。

 ところが、自分と間違われて逮捕された男がいることを聞いたジャン・バルジャンは、裁判所の法廷へ出頭し自分がジャン・バルジャンであることを告白する。そして、マドレーヌ市長はジャン・バルジャンではないかと疑っていたジャベールに追われることになる。ジャン・バルジャンはファンティーヌを看取った後、里親のテナルディエ(サシャ・バロン・コーエン)とテナルディエ夫人(ヘレナ・ボナム=カーター)のもとへ行きコゼットを取り戻す。ジャン・バルジャンはコゼットを連れてジャベールの追跡から何とか逃れる。

 10年後、ジャン・バルジャンとコゼット(アマンダ・サイフリッド)の二人はパリにいた。、ジャン・バルジャンは父親としてコゼットを愛して育て、コゼットは美しい娘に成長していた。テナルディエとテナルディエ夫人も落ちぶれてパリにいた。テナルディエ夫妻の娘のエポニーヌ(サマンサ・バークス)は革命を夢見る貧乏学生のマリウス・ポンメルシー(エディ・レッドメイン)に恋をしていた。ところが、マリウスは街で偶然見かけたコゼットに一目惚れしてしまう。マリウスはエポニーヌに見つけてもらったコゼットの家へ行き、コゼットとお互いの気持ちを確かめ合う。

 マリウスはコゼットと革命との間で葛藤するが、学生仲間と戦う決意をする。パリの下町では革命を起こそうと学生たちが蜂起する事件が勃発する。マリウスはコゼットに書いて手紙をエポニーヌに託すが、エポニーヌはその手紙をジャン・バルジャンに手渡す。手紙を読んだジャン・バルジャンは、コゼットに愛する男性ができたことを知る。ジャン・バルジャンはコゼットのために革命へ投じるマリウスを守るためバリケードを組んでいる現場へ赴き志願兵として参加する。そこにはスパイとして潜入していたジャベールが学生達に正体がバレて囚われていた。ジャン・バルジャンは処刑するふりをしてジャベールを解放する。その後、バリケードを挟んで激しい戦闘が始まり、学生たちは次々と全員が殺され革命は失敗に終わる。ジャン・バルジャンは負傷して気を失っているマリウスを担いで下水道へと逃げ込む。下水道の出口でジャベールがジャン・バルジャンを待ち受けていた。しかし、ジャベールはジャン・バルジャンとマリウスを見逃し、自らはセーヌ川へ投身自殺をしてしまう。

 一人生き残ったマリウスは死んだ仲間に申し訳ない気持ちで苦しむが、コゼットの慰めで心の傷が癒され心身ともに回復する。マリウスとコゼットは結婚することになる。ジャン・バルジャンは自分の過去をコゼットに知られることを恐れコゼットのもとを去る。ただし、マリウスには自分の過去を話す。結婚式にやって来たテナルディエ夫妻を追い返そうとしたマリウスはテナルディエから自分の命を救ってくれたのはジャン・バルジャンだったということを知る。マリウスはジャン・バルジャンの居場所を聞き出し、コゼットともに修道院へと急ぐ。

 その頃、ジャン・バルジャンは死を迎えようとしていた。そこへ、マリウスとコゼットがやって来てジャン・バルジャンを看取る。ジャン・バルジャンは迎えに来たファンティーヌとともに神のもとへと旅立つ。

【レビュー・感想・ネタバレ】

 私が読書習慣をつけようと高校1年のときに初めて読んだ本格的な小説がヴィクトル・ユーゴー[佐藤朔訳]の『レ・ミゼラブル』(新潮文庫、全5巻)である。したがって、私にとって『レ・ミゼラブル』は記念すべき思い出の深い小説である。

 その小説を原作としたミュージカルは、1985年にイギリスのロンドンで初演されて以来、世界43カ国、21ヶ国語で上演され、27年間というロングラン公演と6千万人を超える劇場観客動員数の記録を達成している。さららに今後も記録を塗り替えていくと思われる。本作はその大ヒット舞台ミュージカルの名作を映画化した作品ということでぜひ映画館の劇場で見たいと思った。あややも子どもの頃に『ああ無情』という小説を読んだことがあるというこで、あややにも見せてあげたと思い一緒に映画館のプラット赤穂シネマへ出掛けた。

 実際に映画館の劇場内のスクリーンでこの『レ・ミゼラブル』を見て良かった。映画の全編にわたってほとんど台詞は歌ばかりだったので劇場という外界と遮断された空間で映像と歌と字幕に意識を集中して見ることができた。不思議なことに歌と音楽ばかりなのに違和感なくドラマのストーリーがよく理解できた。反面、台詞に近い歌詞が多いせいか、印象に残る歌と音楽が少なかった。本作では、撮影現場でピアノ伴奏に合わせて歌うライブレコーディング方式というミュージカル映画としては異例の録音方法が採用されているという。

 映画の内容がよく理解できたので、心の奥にドラマが伝わって来た。心を揺すぶられたり、涙を誘われたり、深い感動を味わうことができた。映画館に見に来て良かったと思えた。

 映画の中で一番印象に残るのはファンティーヌの没落する悲運である。ファンティーヌ役のアン・ハサウェイが熱唱する「I Dreamed A Dream」は圧巻である。

 マリウスに愛されていないと知っていながら彼に尽くし、彼の身代わりとなって死ぬエポニーヌの人生も悲しく涙を誘う。

 この『レ・ミゼラブル』には、ジャン・バルジャンという一人の男の生涯を通じて、運命がどうであろうと、どんな運命であろうと、自分の選択で正しく生きることができるということ、そして人間は正しく生きる責任が自分にあるということが一貫したメッセージとして流れている。そこに人生の指針とすべき物語があると思う。

 恐らく本作はミュージカルの最高傑作のひとつとして映画史上に残る名作であろう。

【キャスト】

ジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)
司教(コルム・ウィルキンソン)
ジャベール(ラッセル・クロウ)
ファンティーヌ(アン・ハサウェイ)
コゼット(アマンダ・サイフリッド、幼少期:イザベル・アレン)
マリウス・ポンメルシー(エディ・レッドメイン)
テナルディエ(サシャ・バロン・コーエン)
テナルディエ夫人(ヘレナ・ボナム=カーター)
エポニーヌ(サマンサ・バークス、幼少期:ナタリア・エンジェル・ウォレス)
アゼルマ(キャサリン・ウルストン)
ガブローシュ(ダニエル・ハトルストーン)
ABCの友 アンジョルラス(アーロン・トヴェイト)
コンブフェール(キリアン・ドネリー)
クールフェラック(フラ・フィー)
ジャン・プルーヴェール(アリスター・ブラマー)
フイイー(ガブリエル・ヴィック)
バオレル(イワン・ルイス)
ジョリー(ヒュー・スキナー)
グランテール(ジョージ・ブラグデン)
テナルディエ・ギャング バベ(イアン・ピリー)
クラクスー(ジュリアン・ブリーチ)
モンパルナス(マーク・ピカリング)
ブリュジョン(アダム・ピアース)
バティスティーヌ嬢(ジョージー・グレン)
マグロワール夫人(ヘザー・チェイセン)
シャンマティユ(ジェームス・シモンズ)
コシュパーユ(アンドリュー・ヘイヴィル)
フォーシュルヴァン(スティーブン・テート)
バマタボワ(バーティ・カーヴェル)
工場長(マイケル・ジブソン)
女工(アリス・ファーン)
売春婦(フランシス・ラッフェル)
ジルノルマン(パトリック・ゴッドフリー)
マブーフ(マイケル・サーン)
フランス兵/身分秘匿捜査官(ジョシュ・ウィチャード)
バリケードの市民(ポール・レナード)
上流階級の紳士(ジーノ・ピッチャーノ)
軍士官(ハドリー・フレイザー)

【スタッフ】

監督:トム・フーパー
脚本:ウィリアム・ニコルソン、アラン・ブーブリル、クロード・ミシェル・シェーンベルク、ハーバート・クレッツマー
原作:《小説》ヴィクトル・ユゴー、《ミュージカル》アラン・ブーブリル、クロード・ミシェル・シェーンベルク
製作:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、デブラ・ヘイワード、キャメロン・マッキントッシュ
製作総指揮:ライザ・チェイシン、アンジェラ・モリソン、ニコラス・アロット、リチャード・パパス
音楽:クロード・ミシェル・シェーンベルク
作詞:ハーバート・クレッツマー
作曲:クロード=ミシェル・シェーンベルク
撮影:ダニー・コーエン
編集:クリス・ディケンズ、メラニー・アン・オリヴァー

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ヒューゴの不思議な発明

ヒューゴの不思議な発明 3Dスーパーセット(3枚組) [Blu-ray]

【映画情報】

題名:ヒューゴの不思議な発明(ひゅーごのふしぎなはつめい、原題:Hugo)
ジャンル:ヒューマンドラマ、2D/3D
監督:マーティン・スコセッシ
出演者:ベン・キングズレー、エイサ・バターフィールド、クロエ・グレース・モレッツ
製作会社:GKフィルムズ、インフィニタム・ニヒル
配給:パラマウント映画
公開:2011年11月23日[米国]、2011年12月2日[英国]、2012年3月1日[日本]
上映時間:126分
製作国:イギリス、アメリカ合衆国
言語:英語

【評価】

おすすめ度:71点(100点満点中)

【あらすじ・ストーリー・物語】

 父親(ジュード・ロウ)が火事で亡くなってしまい一人ぼっちになったヒューゴ・カブレ(エイサ・バターフィールド)は、1930年代のフランスのパリにあるモンパルナス駅の時計台で時計のネジを巻いている男に連れられて仕事を教わり駅の屋根裏に隠れ住んでいた。ヒューゴ・カブレの夢は父親が残した機械人形の修復を完成させること。その部品を調達するため駅の中の玩具店で盗みを働くが、店主のジョルジュ・メリエス(ベン・キングズレー)に見つかり父親が残した機械人形の修理について書かれた手帳を取り上げられてしまう。

 ジョルジュ・メリエスの養女であるイザベル(クロエ・グレース・モレッツ)はヒューゴに手帳を取り戻す協力を申し出てくれる。ヒューゴは機械人形の修復を完成させる。イザベルはなぜか機械人形を動かす鍵を持っていて、その鍵を使って機械人形を動かすことに成功する。機械人形は一枚の月の絵を描く。

 機械人形とイザベルの持っていた鍵と月の絵にはすべてつながっていて隠された過去があったのである。

【レビュー・感想・ネタバレ】

 この映画は映像は美しく見入ってしまった。

 マーティン・スコセッシ初の3D映画とうことで評価も高く、第84回アカデミー賞では同年最多の11部門にノミネートされ5部門で受賞しているのだけれども、子ども向けに作られているせいか大人の私が見ると地味なストーリーで満足度は若干低くかった。

 映画の前半はヒューゴ少年と機械人形に焦点が当てられているが、後半になると玩具店の店主ジョルジュ・メリエスに焦点が移っていく。ジョルジュ・メリエスはもとは奇術師で妻のジャンヌ(ヘレン・マックロリー)はその助手だったのである。ジョルジュ・メリエスは奇術師として自分の劇場を持っていたくらい成功していた。ところが、偶然見た映画に感動したジョルジュ・メリエスは劇場を売却して映画製作所を持つ映画製作者に転身する。ジョルジュ・メリエスの映画には常に妻のジャンヌも出演していた。ジョルジュ・メリエスは映画製作者として成功する。ところが、戦争が始まり状況は一変する。ジョルジュ・メリエスのつくる映画は観客に見られなくなり時代遅れとなってしまう。ジョルジュ・メリエスの映画製作所も倒産してしまい、彼は残ったお金で玩具店を買ったのである。

 ヒューゴの父親が手に入れた機械人形はジョルジュ・メリエスが作ったものだったのである。だから、機械人形を動かす鍵を彼が持っていたのであり、養父であるジョルジュ・メリエスが養子のイザベルに贈ったものだったのである。

 ヒューゴとイザベルと機械人形がきっかけでジョルジュ・メリエスの熱烈なファンとが出会い、彼の支援によって戦争ですべて失われたと思われていたジョルジュ・メリエスの映画300本のうち80本のフィルムが収集され劇場で公開されることになる。

 本作で登場するジョルジュ・メリエスは1902年の映画『月世界旅行』でSFX技術を使用した「映画の魔術師」と呼ばれた実在の映画監督である。この映画はジョルジュ・メリエスへのオマージュになっているとともに、映画って本当に素晴らしいだろうっていうメッセージと作り手の映画を愛する気持ちが込められている。ただ、私には今一つそのことが伝わって来なかった。

【キャスト・配役・出演者】

ジョルジュ・メリエス(ベン・キングズレー)
ヒューゴ・カブレ(エイサ・バターフィールド)
イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)
鉄道公安官(サシャ・バロン・コーエン)
クロードおじさん(レイ・ウィンストン)
リゼット(エミリー・モーティマー)
ママ・ジャンヌ(ヘレン・マックロリー)
ムッシュ・ラビス(クリストファー・リー)
ルネ・タバール(マイケル・スタールバーグ)
エミーユ夫人(フランシス・デ・ラ・トゥーア)
ムッシュ・フリック(リチャード・グリフィス)
ヒューゴの父(ジュード・ロウ)
フーツ警官(ケヴィン・エルドン)
浮浪児(ショーン・アイルウォード)
映画館の支配人(アンガス・バーネット)
機関士@(マックス・ロッテスリー)
ジャンゴ・ラインハルト(エミル・ラジェ)
撮影技師(エドマンド・キングズレー)
バグダッドの盗賊[映像](ダグラス・フェアバンクス[ノンクレジット])
トランプ[映像](チャールズ・チャップリン[ノンクレジット])
ジョニー・グレイ[映像](バスター・キートン[ノンクレジット])
ボーイ[映像](ハロルド・ロイド[ノンクレジット])
カメラマン(マーティン・スコセッシ[ノンクレジット])

【スタッフ】

監督:マーティン・スコセッシ
脚本:ジョン・ローガン
原作:ブライアン・ セルズニック 『ユゴーの不思議な発明』
製作:グレアム・キング、ティム・ヘディントン、マーティン・スコセッシ、ジョニー・デップ
製作総指揮:エマ・ティリンガー・コスコフ、デイヴィッド・クロケット、ジョージア・カカンデス、クリスティ・デムロウスキ、バーバラ・デフィーナ
音楽:ハワード・ショア
撮影:ロバート・リチャードソン
編集:セルマ・スクーンメイカー

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イナフ

イナフ コレクターズ・エディション [DVD]

【映画情報】

題名:イナフ(Enough)
ジャンル:サスペンススリラー
監督:マイケル・アプテッド
出演者:ジェニファー・ロペス、ビリー・キャンベル、テッサ・アレン
配給:コロンビア映画、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント[S.P.E]
公開:2002年5月24日[米国]、2003年1月25日[日本]
上映時間:115分
製作国:アメリカ合衆国
言語:英語

【評価】

おすすめ度:74点(100点満点中)

【あらすじ・ストーリー・物語】

 ダイナーのウェイトレスをしているスリム(ジェニファー・ロペス)はゲームの賭で口説いてきた男から助けてくれたエリート男性のミッチ・ヒラー(ビリー・キャンベル)と恋に落ち玉の輿結婚をする。ひとり娘のグレイシーにも恵まれ、優しい夫との暮らしは幸福そのものだった。娘が5歳になった頃、夫の浮気に気がついたスリムは彼を詰問する。ところが、それまで優しかった夫が豹変し酷い言葉を言ったり暴力までふるいスリムを支配し自分に従わせようする。ミッチの言動に耐えられなくなったスリムは、娘のグレイシーを連れて家を出ようとする。家出の現場をミッチに見つかり捕まってしまうが、友人たちの助けによって何とか家を出る。

 家を出たスリムだったが、夫のミッチは人まで雇って彼女の行き先を執拗に追跡して来る。そのため、スリムは同じ場所に留まることができず、アメリカ国内をあちらこちらへと逃げ回る。お金に困ったスリムは実父に援助を頼むが断られてしまう。しかし、スリムの雇った人間が実父のもとへやって来て彼を脅したことから、実父は娘のスリムを援助してくれるようになる。

 裁判所の法廷へ呼び出されることになったスリムは、紹介された弁護士に交渉の依頼をするが、法律的には勝てないことを告げられ依頼を断られてしまう。法律では解決できないことを知ったスリムは娘のグレイシーを守るためある行動を取り、夫のミッチへ反撃を開始する。

【レビュー・感想・ネタバレ】

 幸せな結婚生活から一転してドメスティックバイオレンスをふるうようになった夫から逃亡する妻子を描いているのだけれども、結構ハラハラ、ドキドキさせられた。

 最後にスリムが取った行動は思いがけないものだった。それは、実父がつけてくれたトレーナーから格闘技を教わるというものだった。練習で上達したスリムは、ミッチの家へ忍び込み部屋にある拳銃を隠したりして彼を対決する準備をする。そして、ミッチが自宅へ帰って来たとき、スリムはミッチと力づくの死闘を演じる。スリムはミッチを倒して殺そうとするが、最後のところでどうしても殺せなかった。息を吹き返したミッチはスリムに反撃し彼女を倒してしまう。そして、ミッチがとどめを刺そうとスリムに近づいたとき、トレーナーから教わった起死回生の技を使って反撃し、ミッチは階下に落ちて死んでしまう。

 ラストで泣き寝入りをしない戦う女性の実力行使にはちょっと驚きの展開である。

 最初の出だしのダイナーで口説いてきた男は、実は刑事でミッチの知り合いだったのである。ミッチが彼女を助けて惚れさせるために始めから仕組まれていた罠だったのである。

【キャスト】

スリム・ヒラー(ジェニファー・ロペス)
ミッチ・ヒラー(ビリー・キャンベル)
グレイシー・ヒラー(テッサ・アレン)
ジニー(ジュリエット・ルイス)
ジョー(ダン・ファターマン)
ロビー(ノア・ワイリー)
ジュピター(フレッド・ウォード)
ミッチの母(ジャネット・キャロル)
ジム・トラー(ビル・コッブス)
フィル(クリストファー・マー)

【スタッフ】

監督:マイケル・アプテッド
脚本:ニコラス・カザン
製作:ロブ・コーワン、アーウィン・ウィンクラー
製作総指揮:E・ベネット・ウォルシュ
音楽:デヴィッド・アーノルド
撮影:ロジェ・ストファーズ
編集:リック・シェイン・エーシーイー

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